葬儀
先日、神式の葬儀をご奉仕してきました。
鹿野の神社の宮司様のご母堂様の葬儀でした。
当家が代々ご交誼を賜っていることから、私に斎主のご依頼がありました。
3年前には、ご尊父様の葬儀もお手伝いさせて頂きましたが、夫婦共にご健在の頃には、
お二人で神社を守りつつ、山に出かけ、和歌を詠み、穏やかにお暮らしだったようです。
葬儀の日は、ちょうど七夕でした。
お別れした奥様の御霊は、天上に昇られて、ご主人様の御霊に迎えられたことでしょう。
葬儀の後、喪主である宮司様のご挨拶の中に、次のようなお話しがありました。
地元の病院に戻ってからも、母は長い間意識も戻りませんでした。
その間神様に、「どうか母を元気な体に」と毎日祈っておりました。
しかし、点滴だけで頑張り続ける姿に、母ももう十分頑張った、と思うようになりました。
そこで神様に「これより先母の命は神様におまかせいたします」とお願いしました。
するとその翌日でした。母は神様のお導きにより天命を全うしたのです。
葬儀は、悲しみの中で行われるものだけに、つらいものではありますが、
故人と遺族との心の通い合う様子に、温かさを感じられるものでもあります。
【神式の葬儀について】
神式の葬儀には、馴染みが薄いと思いますので、少し解説を。
神式の葬儀とは、深い悲しみにある喪家に代わって神職が神道の儀式にて奉仕し、
故人生前の遺徳を称え感謝し、その御霊に対して「安らかにお鎮まりを」と祈る儀式です。
一言で言えば、神式は、故人の御霊に対して、その平安を祈る儀式です。
例として、馴染みの多い仏式の葬儀は、ご本尊に対して、御霊の極楽浄土への導きを
祈る儀式と言えますので、それぞれに儀式の意味合いは違うのであります。