国民が憲法を考える機会を
5月3日、戦後占領軍の草案によってできた日本国憲法は、施行71年を迎えました。
昨年、安倍首相が自民党総裁として、結党以来の悲願である憲法改正を実現したい
という強い決意を表明。 憲法に自衛隊を明記するという具体案を提示したことで
各党の国会議員もやっと本気になってきたかと思いきや、国会も憲法調査会も一向に
前に進まない様子です。
憲法記念日の昨晩はさすがにNHKも特番を組んでいたので観ましたが、
野党の意見は「安倍政権ではダメ」みたいな言い訳ばかりで、建設的な意見がなく
前半で飽きてしまいました。
その中で、「憲法を改正すべきか?」というNHKのアンケート調査の結果
改正すべき 29%
改正すべきでない 27%
どちらともいえない 39% について、
「何をどう変えるのかという具体的な議論がされてない今、 “どちらともいえない”
が多いのが当たり前の結果」 という維新の会代表の発言に同感しました!
憲法改正は国民投票で国民が決めるもの。
しかし、国民が求めてないのにとか、国民の意識が盛り上がってないから、を理由に
国会議員が議論を進めないのは、国民の代表として本末転倒では。
国民議論を喚起するためにも、国会議員が率先して改正項目について具体的議論を進め、
それによって国民が憲法について考える機会を与えるべきと思うのですが・・・
そして今朝、東京から帰省した高校時代の先輩が訪ねてきてくれたのですが、
いきなり憲法の話しに。
「日本に成文憲法は必要なんじゃろうか?
世界と肩を並べるために日本は憲法をドイツに学んだが、イギリスには成文憲法は無い。
長く積み重ねた慣習法があるだけじゃ。 日本人も憲法に縛られずにやっていけるんじゃ
ないかと思うがどうか?」と先輩。
「確かに日本には長い歴史と文化があり、また豊かな自然と向き合って生きてきた中で、
自立とか自律、共同意識や様々な道徳観を育んできたので、憲法が無くても他の知恵が
あったかもしれませんね。でも、明治以来の憲法を無くすというのは難しいことですね。」
「憲法改正は9条からという話しで進んでいるが、俺はむしろ96条の改正条項から変えるべきと
思う。 まず改正のハードルを他国並みに下げておいて今後の改正をスムーズにすべきでは
ないか。」と先輩。 イギリスには日本のような特別な改正条件もないとのこと。
「憲法には不備な点が多くあるので96条も大きな問題ですね。しかし、国際情勢が緊迫した中で
自衛隊が合憲か違憲かというような状態に早く終止符を打つべきであり、国防が国民にとって
最も身近に考えやすいからということもあるのではないでしょうか。 」
イギリスには成文憲法がない、というのは初めて知りましたが、共に王室・皇室を中心とする国家
だけに、何か意味が深い気がしました。
憲法論議が、国民の間で今一つ盛り上がらないその理由として、
一つは国会議員の具体的論議が進まず、国民には考える具体的材料がないこと。
多くの国民は憲法を読んだことがありませんし、内容を教えられてもないのですから。
もう一つは、政治家や法律家は別として、一般の国民は憲法を考えることがほとんどないこと。
イギリスの慣習法ではないですが、むしろ伝統や慣習、普遍的な道徳観などというものに
ほぼ共通の基準を持って生活しているからということもあるように思います。
国家の背骨でありながら身近でない存在の憲法。
それを国民が自ら考えることこそ、今までの日本とこれからの日本を考えるチャンスであり、
本当の国民主権とはそういうことだと思うのですが・・・ どうでしょうか?
日本国憲法 http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/shiryo/dl-constitution.htm