お伊勢様のお札「神宮大麻」
秋の深まりは日に日に進み、早朝は寒ささえ感じるようになりましたが、二十四節気では「霜降」を迎える時期となっていました。
10月19日、山口県神社庁の神殿で「神宮大麻暦頒布始奉告祭」(じんぐうたいまれきはんぷはじめほうこくさい)が執り行われました。
神宮大麻(じんぐうたいま)とは「お伊勢様のお札」のことで、古くは「御祓大麻」(おはらいたいま)と呼ばれていました。神宮暦(じんぐうれき)は「伊勢暦」(いせごよみ)のことで、神宮大麻と共に「御師」(おんし)という神宮に仕えた人々が全国に配り届け、江戸時代中期には全国の九割の世帯がお伊勢様のお札を受けていたと推測されています。
明治の御代になって、それまで御師がそれぞれ奉製、頒布していた「御祓大麻」が廃止され神宮において奉製された「神宮大麻」が頒布されるようになり、戦後はその頒布を神社本庁が委託されて全国の神社から各家庭、各会社に届けるようになりました。
大麻は本来は「おおぬさ」と読んでいた如く、神社でお祓いの時に頭の上で振られる「大麻」(おおぬさ)のように、祓い清められた清浄なものという意味です。神社でも手水をとってお参りし、神事ではまず最初にお祓いが行われるように、神様は清浄を最も尊ばれます。
よって神宮大麻は、神宮で厳粛なお祭りが行われ、神社でもお祭りが重ねられ、繰り返し祓い清められて家庭や会社に届けられます。神宮では、1月に「大麻暦奉製始祭」4月に「大麻用材伐始祭」12月に「大麻奉製終了祭」が行われますが、この間毎週「大麻修祓式」が行われて、丁重に祓い清められ奉製されていきます。
お札に巻かれている薄紙も、人の手によって配られていくお札の清浄を保つためのものです。家庭や会社では薄紙を取り除いてからおまつりします。
そして9月17日には神宮で「神宮大麻暦頒布始祭」が行われ、その後各県の神社庁においても「神宮大麻暦頒布始奉告祭」が行われるのです。
山口県神社庁神殿における「神宮大麻暦頒布始奉告祭」。神事後、斎主から山口県神社庁長に大麻と暦が授与されました。
そして、山口県神社庁長から県内10支部の支部長へ大麻と暦が授与されました。これから各支部での「頒布始奉告祭」で各支部長から各神社宮司へ大麻と暦が授与されて、各神社でも「頒布始奉告祭」が執り行われます。
こうして、お祭りが重ねられた「お伊勢様のお札」が、年末年始に各家庭へ、各会社へと配られることとなります。この「神宮大麻頒布始奉告祭」が始まると、いよいよ年末年始の準備を始めないと、という気持ちに毎年なるものです。
今年もいろいろなことがあった一年でしたが、いろんなことがあったからこそ新年が良い年であるようにと強く願いたいものです。
日本をお守り下さる「お伊勢様のお札」と、地域をお守り下さる「氏神様のお札」を、全国津々浦々の家庭や会社がおまつりし、一年の幸福と繁栄を国民挙って祈る。
日本の心を育んできたこの素晴らしい美風がさらに広がることを願って、一軒でも多くの家庭に会社にお届けしたいと思います。
神宮大麻について http://www.isejingu.or.jp/about/jingutaima/pdf/ofuda_howto.pdf