今神代
稲の収穫も進み、日本各地、祭りの秋となりました。
そんな中、秋の伊勢路へ行ってきました。
外宮正宮
神宮では、祈年祭(2月)、神御衣祭(5月・10月)、月次祭(6月・12月)、神嘗祭(10月)、
新嘗祭(11月)を五大祭と呼び、由緒深いこのお祭りには、各県の一般神職にも
奉仕の機会が与えられています。
今年、山口県には外宮神嘗祭奉仕の機会が与えられ、不肖私が奉仕の栄に。
広島県、徳島県、香川県の神職さんと一緒に奉仕してきました。
「神嘗祭」(かんなめさい)は、「神嘗正月」(かんなめしょうがつ)と言われるほど、
神宮において一年の祭りの中でも最も大切な重儀。
10月15日から25日、内宮・外宮を始めとする神々に、今年の新穀を奉って感謝する祭りで、
私の奉仕した外宮では次のような日程で祭りが行われました。
外宮 神嘗祭 15日 午後10時 由貴夕大御饌(ゆきのゆうべのおおみけ)
16日 午前 2時 由貴朝大御饌(ゆきのあしたのおおみけ)
正午 奉幣(ほうべい)
午後6時 御神楽(みかぐら)
午後10時と午前2時の「大御饌」は、神様に特別な食事をお供えする祭りです。
澄んだ星空、月明かりの下、松明と提灯の灯りの中を、神職の列が玉砂利を踏みしめる、
ザッ、ザッ、という音のみが参道に響きます。
神様の鎮まります「御正殿」は四重の垣に囲まれていますが、その一番内側に着座。
浄闇の静けさの中、数々の食事が次々と神前に供えられ、お酒も一献、二献、三献と重ねられ、
雅楽が演奏されて、最高のおもてなしで神様への感謝を伝えます。
神宮の祭りは、「今神代」(いまかみよ)ともいいます。
神代が今に蘇る祭りであると。
まさに、その光景でした。
「神の庭で繰り広げられる、神代さながらの神祭り」でした。
正午からの「奉幣」は、天皇陛下からの御供物を奉るお祭りです。
陛下からの御供物と陛下のお遣いである「勅使」に続き、神宮祭主様、大宮司、少宮司以下の
神職の列が一歩一歩進むのを、多くの参拝者が見守ります。
御供物は祓われ、確認され、神前へと運ばれて、御正殿の中に納められました。
ゴツゴツした石の上での正座は正直かなり大変でしたが、
神秘的な「神嘗祭」を目の当たりにして、「神社とは神をまつる場である」という言葉を
改めて実感しました。
貴重な経験に、只々感謝でした。
奉幣終了後、斎館前にて他県奉仕者と。